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2005年8月 9日 (火)

「思えば叶う」

講演メモ:「脳研究と脳型コンピュータ」

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ハイパーメディアコンソーシアム第20回シンポジウム
「脳型コンピュータ研究開発と脳科学」
日時/場所:1999.1.13/弘済会館
講師:理化学研究所脳科学総合研究センター)松本 元氏
文責:関 幸一
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序-

脳研究と脳型コンピュータ
いままでの科学は「死んでいる物の科学」である。木や金属を対象にした科学であるからである。生き物は全くちがう原理で動いている。

「あれば便利」は「楽して生きたい」ということであり、人間をだめにする。
すなわち、成長がない。「あれば便利」ではなく、なければならないものを追求していくことが大切である。

脳研究の2つのアプローチ
(1)「脳を知る」という研究のアプローチ
(2)「脳を創る」という研究のアプローチ
がある。
「脳を創る」というアプローチは、脳が生得的に備えている「アルゴリズム獲得のアルゴリズム(超アルゴリズム)」が脳でどのように表現され、それによって脳のアルゴリズム獲得がいかに成されるかを解明すること。
この「脳を創る」研究アプローチからの脳理解について説明する。

1.脳の目的

★脳の目的はアルゴリズム獲得
脳の目的は、情報を選択し、その選択した情報の仕方(アルゴリズム)を自ら獲得することである。
脳はアルゴリズム獲得が目的であるので、人の生きる目的はどれだけのことを成すか(出力すること)ではなく、高きに向かって努力しているプロセスにある、と言える。言い換えると、人生の目的は頂点に達することではなく、高きに向かって努力しているプロセスにある。

山に登る時に頂点が必要なのは、高きに向かって進むためのあくまで指標にすぎず、決して頂点に到達することが山登りの目標ではない。

★目的が脳を活性化する
巨人軍の清原選手の話:
「巨人軍入団が永年の夢だった」すなわち、入団することで目的を達成してしまったことになり、後はスランプに陥るだけ。

サッカーのカズ選手と中田選手:
カズ選手はワールドカップ出場が夢だったから、出なくてよかった。
中田選手にとってはワールドカップ出場は、単に自分を世界にアピールする機会に過ぎず、自分をさらに引き上げることが目的。

★出来高評価は人を苦しめる
現代社会は出来高で人を評価することが多い。この事が人を苦しめる。脳本来の目的にまったくそうぐわないからである。「出来高払い」ではチャレンジができない。

コンピュータはそのプログラムに従って入力情報を処理し出力する。
コンピュータの目的は出力することであるので、「出来高評価」をコンピュータに適用することは正しい。

2.脳の原理
2-1 脳の情報原理

★脳はメモリー主体型/コンピュータはプロセッサ主体型
脳はダイナミックな表引きテーブル(ルック・アット・テーブル)と考えることができる。
表引きの検索をするのは、答えを検索する必要があるだけの入力情報を得ている、と脳が判断した時である。
先読み学習し、自分が答えをつくって照らし合わせる。答えを探し出して出力するだけだから速い。コンピュータの情報原理はプロセッサーベース・アーキテクチャー(プロセッサ主体型)である。

★人はわかりあえない
表引きテーブルが一致したときわかりあえる。たとえ数十年連れ添った夫婦でも、それぞれの表引きテーブルが違うわけだから完全にはわかりあえない。

2-2 脳の構成原理

★最後を印象深くすると全てが記憶される
ねずみの実験:
ねずみにブザー音を聴かせた後、少し時間をおいてねずみの足に大きな電気ショックを短時間与える。この後、このねずみは、ブザー音を聴くと次に電気ショックが来ることを「先読み」し、身体の硬直や血圧上昇などを起こす。

脳が出力を出すほどの刺激を受けた時だけ記憶される。自分にとってこの情報は役に立つ情報だと思ったときに脳は活性化される。(アルゴリズムとして記憶される。)

最後を盛り上げると、その前をすべて記憶する、というのは脳のアルゴリズム獲得のメカニズムによる。

★一度記憶したものは生涯忘れない。思い出しにくくなるだけである。
脳は一度長期記憶としてアルゴリズムを獲得すると生涯消去できず、新しいアルゴリズムは古いアルゴリズムをもとに追加学習的に形成され階層構造化される。われわれがものごとを忘れて行く様に思えるのは、そのアルゴリズムが失われるからではなく呼び出しにくくなるからである。

3.脳の広域学習アルゴリズムとその表現

★古皮質が直感し、新皮質が評価・検証する
脳は進化過程で得た、古皮質、新皮質の二重構造を情報処理の階層性として用い、古皮質で把握した粗いが素早い意味概念を、新皮質が検証すべき目標設定として構築されている。

3-1 目標設定

★「思えば叶う」
脳は、生まれながらにアルゴリズムを創り出すアルゴリズムをもっている。
したがって、「こうしたい」「こうなりたい」と願えば(思えば)、その実現に向けてのアルゴリズム創生活動が動き出し、答えを見つけていく。
目標を持つことの重要さはここにある。そして、目標をもてば諦めないかぎり実現する。実現させるために脳は働きつづける。

3-2 脳の広域学習制御

★歳を取ると、なぜ一年が短く感じるのか
年々時間が短くなっていると感じるということは、感動することがなくなったということにほかならない。逆の例もある。
花を育てることが楽しみになったおばあさんの話:
3週間が、過去の74年間よりも長く感じる。朝起きるのが待ち遠しい。

★人は胎生であり胎生期がながいので関係欲求が強い
人は胎生でありその期間がながいので、人とひとのコミュニケーションなしには生きられない。

結び
★愛は脳を活性化させる
人は「存在するだけですばらしい」といわれることで、それは愛と表現されその結果、脳が活性化される。
愛された経験を持つ人が、他人も愛せる。
人が目標を設定し、その実現に向けて踏み出すと、挫折もする。この挫折の中で、持続的に目標達成に向けて挑戦し続けるための、いわばエネルギーが愛である。
この愛によって脳活性を上げ、これによって目標を結果として達成するためのアルゴリズムを獲得することになる。

★情報とは「情」が通じること
脳を活性化させるものが情報である。単にインターネットのホームページに掲載されている「もの」が情報ではない。原点にもどってぜひやっていただきたい。
日本が世界に向けていい情報発信基地になってもらいたい。

            --以上--

「構成的手法による脳研究 -脳型コンピュータの開発-」
「脳を創る」

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コメント

この稿はだいぶ前に関さんのホームページからプリントアウトさせていただき熟読しました。
松本元さんは、彼が「快」が脳を活性化すると言っているのをどこかで読んでから気になっています。今回は「脳を創る」という彼の別の講演記録もリンクして下さったので、これから読んでみます。ありがとうございます。

投稿: sakaki | 2005年8月19日 (金) 01時52分

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