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2006年8月19日 (土)

【イベント参加報告】第1回学校教育再興フォーラム群馬大会

Gunma85Gunma200今日は、昨年の2005両毛教育祭「第7回でき学セミナーinぐんま」に続いて、塚田先生からお知らせいただいた、第1回学校教育再興フォーラム群馬大会に参加しました。高崎市文化会館で開催されました。

9:50~10:40
■第1講座「教師上達論」・・・杉渕鉄良氏
Gunma94「教育は人にあり!」「教師の質が上がれば、教育はよくなる」
・教育をよくするには、教師の力量が問題になる。
・力量をつけるには、(目指すところに応じた)修行が必要。
・3つの力量:人間力(情)、専門力(知)、指導力(意)
・力量を見につけるには、まず「先人のまね」「先人の実践の背後にあるものを学ぶ」
そして、「自分の生き方、志、考え方」と「自分のタイプ、キャラクター、長所」をふまえて、「自分流の実践、じぶんなりの原理・原則」を見つけ出すこと。


10:50~11:40
■第2講座「家庭教育・学校教育に望むこと」・・・長田百合子氏
Gunma96私は「ただのおばちゃん」だが、29年間の現場(家庭)の知恵がある。
中学校のとき’いじめ’にあった。その対応策として、「弱い自分を、悪い自分に見せかけること」を思いつき、タバコ・酒・シンナーもやったが、遅刻・早退・欠席はしなかった。

・心がみだれると、体がみだれる、そしてまた心が乱れる。その繰り返しでどんどん悪くなる。
・「子どもの問題は、すべて親の問題」
・むかしは、「ひと様、ダンナ様、先生様」と言ったが、今は「お子様」と言う。
・今の世の中は、何かおかしい。TVでコメンテータの医者や精神科医が、「待ってあげましょう」と言うが、3年も、5年も、10年も待てない。
・不登校などの子どもの問題は、家庭で起きている!
・引きこもりを助けるのが一番うまいのは、引きこもりから立ち直った人。私はそれをやっているだけ。

「学校の先生が元気になれば、子どもたちも元気になる」「先生、頑張って!」と長田先生からの応援メッセージが寄せられた。


11:40~12:50(昼食・休憩)
12:50~13:40
■第3講座 「国民に求められる教師像」・・・野口芳宏氏
Gunma207Gunma211野口先生から最初に質問が出された。
「今のように日本の教育が大きな問題をかかえるようになった責任は、あえていうと次のA,B,Cのうちのどれだと思うか?」

A:家庭教育
B:学校教育
C:社会教育

会場の参加者に手を挙げさせたところ、「A:家庭教育」とした人が一番多かった。
それに対して野口先生は、「今日は先生方の研修がテーマであり学校の先生が多く参加しているはずなのに、自分のことを棚にあげて、家庭教育に原因があると言っていいのか?!」「家庭教育は、教育の素人がやる。計画もなく、経験と勘で行われ、学校のように教育委員会に視察もない。しかし、学校は、すべて教育の専門家がやっている。」
「学校教育は、よき社会人・よき国家の形成者をつくることが目的である。学校の教育がどこかおかしいから、ああいう家庭ができたのではないか」
「いい学校教育が行われるようになったら、20年後の国家はまともになるはずだ。家庭も、社会も、学校教育がよくなることでよくなっていくと言える。」
「我々教職に携わっているものは、謙虚な反省と分析が必要である。」

日本教育再興連盟はNPO申請中であるが、「教育の成立する条件」を考えてそういう教育をする必要がある。
教育で一番大切なものは何でしょう?それは、
(1)「信」
 「信」の反対語は「不信」。教師は「信」じられる存在でないといけない。
 「信用」:信じて用いられる。その上をいくのが、
 「信頼」:信じて頼られる。さらにその上は、
 「信仰」:信じて仰ぎみられる。
 今、夏休みだが、先生は子どもたちに「夏休みは、本を読もう」と言ったときに、子どもたちはどういう反応をするだろうか?
読書をしない先生が読書を勧めることもある。こんな場合は、先生はこどもたちに信用されていないということである。
今、日本の子どもたちがどれだけ頷きながら先生の言葉に耳を傾けているだろうか?

(2)「敬」
 敬われるに足る教師であろうか? 「三尺下がって師の影を踏まず」という言葉があったが、今は「先生と生徒は対等」という時代である。
 「敬」にも3つある。
 「表敬」:敬意を表す。その上は、
 「尊敬」:尊び敬う。さらにその上は、
 「畏敬」:畏れ敬う。
 「敬」よりも上なのが、「慕」(慕う)である。

(3)「慕」
 「慕う」の逆は、「あの先生の、声も聞きたくない、顔も見たくない」ということになっていないか。
 「思慕」:思い慕う
 「敬慕」:敬い慕う
 「永慕」:ずっと永く慕う
 「追慕」:死んでも、なお慕う
 というのもある。

◆「研修」という言葉
 研修という漢字はない。研究と修養という二つの言葉が合わさってできた言葉である。
 しかし、今は、研究はするが修養はどうやらやっていないのではないか。
 研究は子どもをどうするか、すなわち「他者改善」である。修養は「自己改善」、すなわち自己を高めること。
 教師自身が自らを磨くということが大事。
 「教育は人なり!」 すなわち、教師次第ということである。

◆「源流浄化」
 川上が濁っていたら、川下も濁る。川上から浄化する必要がある。
 「孝」:子どもの方から教えてもらうという意味の字。
 「親は子どもにとって大恩人であり、親に勝る恩人はない」「親を大切にしなさい」「親に言われたことは、ハイと言って従うものだ」
 ふだんそういうことを教えているか?それを教えることが大切だ。そのことにより、親も「先生のことをよく聞きなさい」と言うようになる。
 おかしな教育をしているから、おかしな社会や家庭になった。

◆「人間は教育されなければならない存在である」
 80年前にインドで「オオカミに育てられた少女」が発見された。オランダの学者・ランデフェルドは、「人間は教育されなければならない存在である」と言った。
 教育されなければ、人間は人間たりえないのである。


13:50~14:40
■第4講座 「これからの日本の教育」・・・陰山英男氏
 学力の新しいルール:「学力をつけるとは 脳を健やかに育てること」
Gunma221◆議論の中核は学力問題
来年から「全国一斉学力テスト」が実施される。学力問題は影響が大きい。
学力問題は、学校の固有の問題であり、家庭や社会に転嫁できる問題ではない。
学力をきちっとつけることが課題。
コンピュータで例えると、学力はハードディスク(HDD)の容量の問題ではなく、中央処理装置(CPU)の性能の問題であることがわかってきた。
すなわち、学力は’脳’の能力の問題であるということである。

◆教育低迷の最大の理由は、事実が正しく分析されていないこと
・「お金がなければ東大に入れない」はウソ
・最初から間違っていた「学力低下の理由」
 「勉強しなくなってではなく、勉強をして学力低下してしまった」「競争させれば子どもの学力は低下する」
 15歳(中3)と18歳の体力の落ち込みー>受験が問題
・子どもたちは勉強に追いまくられているのか?そうではない。
 「家庭学習の時間が、世界で一番短い!」「TVを見ている時間が、世界で一番長い!」
 それでも学力は「中の上」。日本の学校教育は頑張って成果をあげているのだ。

◆日本の教育は一度壊れた!
Gunma218調査結果の分析で、「不登校」(心の問題)と「ソフトボール投げ」(体の問題)が相互に関連していることが分かった。
どちらも、昭和56年と平成5年~7年のところで問題が起こっていることがわかった。不登校が急増し、体力低下が起こっている。
校内暴力が問題化したのもこの時期に一致する。
この時代背景は、「TVの個別化」「番組の深夜化」「ファミコンの普及」「レンタルビデオ・コンビニの普及」であり、「オイルショック」とその時期に同期している「小子化」で、「いい高校・いい大学・倒産しにくい会社への就職」という思いが大きなプレッシャーになったとも言える。

◆睡眠時間の急激な減少
 核家族化、子どもたちは「ゲームセンター」に。
 受験競争批判を生む土壌。嫌われる基礎学習。学級崩壊。
 これは、子どもたちの生活習慣が問題なのだ。指示待ち症候群から生まれた新しい学力観。
 1日2時間のTV視聴で、
 全学習時間(708時間) < TV視聴時間(730時間)
 となる。実際は、もっとTV視聴時間は多い。学校で勉強している時間よりもTVに勉強させられている時間の方が多いのだ。

◆土堂小学校の実践と成果
広島県の調査結果によると、食事(摂取食品数)と学力、睡眠時間と学力の相関関係があることが分かった。
土堂小学校の実践とその成果を紹介する。
漢字検定の合格率は97%と受験校でもないのに全国トップクラスという結果が出た。
国語の点数は87点(平均は74点)、算数は95点(平均は80点)。
知能指数も伸びることが分かった。
・IQ(平均は100) 土堂小では: 113(翌年は115)、120以上が28%(翌年は42%)

・ポイント1:「早寝早起き朝御飯」
・ポイント2:「読み書き計算の徹底反復」
 
◆脳を鍛えるモジュール授業
Gunma232Gunma236本に書いた。ビデオも先生方が見るだけでなく、直接子どもたちに見せてあげて欲しい。
同年代の子どもたちが実践しているのを見て、勇気と意欲が湧いてくるはずだ。
(と、自らの著書の紹介をされたので、講演の直後には本の販売コーナーは黒山の人だかりとなった。)

夏休みに、自主的にこのような「研修」の場に参加された先生方は本当に偉いと思う。
このような熱意溢れる先生方がいるかぎり、日本の教育もきっとよくなっていくと感じた一日でした。Gunma231
そうそう、陰山先生がプレゼンテーションに使っていたパソコンは、小型のノートパソコンで、「FMV」と書いてありました。陰山先生ありがとうございました!

そのあと、
14:40~15:00 休憩(宣伝タイム)
15:00~16:50
■「教育オーディション」・・・・・コーディネーター:深澤 久 氏
がありましたが、夕方から私用があり、新幹線で飛んで帰りました。

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コメント

関 様

昨年のでき学セミナーに引き続き
貴重なリポート有り難うございます!

昨日はご挨拶もできず失礼致しました。<(_ _)>

投稿: 塚田直樹@群馬 | 2006年8月20日 (日) 04時18分

塚田さま:
関です。いつもイベントのご案内、たいへんありがとうございます。今回も、4つの素晴らしい講演を聴くことができました。特に、野口先生の「研修の研究はよくするが、修練が足りないのではないか」という指摘は、先生方の研修だけでなく、我々ビジネスマンの場合にもあてはまると思います。
修練で人間力を高める必要がありますね。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月20日 (日) 06時34分

塚田さんに教えてもらって読みました。野口さんの「修養が足らない」はまったく同感。研究は新しいことにチャレンジすること、修養は過去に学ぶことだと思っています。このバランスが大事で、研究2:修養8くらいがいいのではないかと思っています。ぼくは研究所の技術者ですが、先端的研究を行う場合でも研究2:修養8がよいと思っています。

投稿: 関口@練馬 | 2006年8月20日 (日) 09時52分

関口さん:
関です。コメント、ありがとうございます。私も教員ではないのですが、昨日のフォーラムで一番印象深かった言葉は、野口先生の「今の時代は、修養が足りない!」という言葉でした。
「今の社会人に何が必要か?」という議論では、「ITスキルは必要だがそれだけではだめで、ヒューマンスキルすなわち『人間力』が必要」と言われています。
『人間力』を身に付けるための修養が重要だと思いますが、その方法となると難しいですね。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月20日 (日) 10時07分

塚田先生からのMLで拝見しました。
自分もあの会場にいました。ひょっとしたら関さんは右前の方の席で,昼休みにタブレットPCに向かっておられませんでしたか?デジカメで写真も撮っておられましたし。
実は私はその斜め後ろの席に一人座っていた男です。
このブログの写真の角度からみるとどうもそのようですね。お顔を存じませんでしたので失礼しました。

さて私,石川で野口塾を開かせていただいています。
「修養」の大切さをいつもいわれる野口先生です。
当然,第1問は「学校教育」と挙手しました。
自分という人間を高めること,教師は忘れていることだと思います。
子どもにばかり要求せず,おのれもがんばらねばと思っています。

またどこかの会場でお会いするやもしれません。
そのときはお声をかけさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

ちなみに私が使っているモバイル用のPCはなんと!「FMV」LOOXです。昨日は持っていきませんでしたが。
陰山先生のものと同じだとは知りませんでした。
ちょっとうれしいかな。

このブログそのまま印刷して職場の皆さんに報告したいくらいです。よろしければ使わせていただきたいです。

投稿: 山本@石川 | 2006年8月20日 (日) 10時51分

山本@石川さん
昼休みにタブレットPCに向っていた関です。コメント、ありがとうございました。ブログは公開情報なので、どうぞ使ってください。

「タブレットPC教育利用研究会」というブログもやっています。
http://seki-kouichi.cocolog-nifty.com/tpc/
です。こちらも、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月20日 (日) 11時55分

再び山本です。
お言葉に甘えて,ブログをもとに勤務校の先生方にも情報発信しようと思います。
本当にありがとうございます。

タブレットPC,まだ使ったことのない自分ですが,少しずつ学習してみたいものです。
またいろいろ尋ねることがありましたら,どうぞお教えください。

投稿: 山本@石川 | 2006年8月20日 (日) 15時26分

関様
 コメント感謝・感謝です
 毎回の報告の“まとめ”的確で、スピーディ
 マネしたくても できません
 CPUの差を感じます
 外部記憶装置も ・・・ お粗末なんですが 、、、

投稿: 和パパ | 2006年8月21日 (月) 15時23分

和パパさん:
関です。コメント、ありがとうございます。
和パパさんの行動力には、とてもかないません。
私の情報化社会を楽しむためのモットーは、「スピード、センス、ストック」ですが、中でもスピードには力を入れています。するとどうしても正確性や的確性は犠牲になります。
それでも、ブログに掲載することでみなさんがチェックしてくださるので修正できます。また、この積み重ねは貴重な’ストック’になります。
今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月21日 (月) 16時02分

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