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2006年10月27日 (金)

【イベント参加報告】JAET熊本大会(初日)

第32回全日本教育工学研究協議会(JAET)全国大会【熊本大会】に来ています。会場は熊本市内の’鶴屋デパート’の7階と10階です。この会場には25年くらい前に来たことがあります。「全国青年司法書士連合協議会(青司協)全国大会」とかいうイベントだったと思います。

今日(10月27日)と明日(10月28日)の2日間で、今日の午前中は鹿児島市内の各学校で公開授業と授業研究会がありましたが、私は午後からの参加です。
Jaet4486Jaet4521開会行事の始まるまでの間、10階のパレアホールでの「教材・教具展示会」を見学しました。
高陵社の高田社長がこの日に間に合わせるためにたいへん苦労された、清水康敬先生編著「電子黒板で授業が変わる」という本の販売コーナーもありました。
私もさっそく購入し、日頃お世話になっている先生方にPRも兼ねてプレゼントしました。

◇開会行事(14:00~)

◇特別講演(14:30~15:50)
Jaet4491Jaet4495講師:フィンランドセンター所長 ヘイッキ・マキバー氏
テーマ:『世界一の高い学力と学習意欲を誇るフィンランドの教育』について
最近、PISAの学力調査結果で日本の学力低下が話題になっているが、この学力テストで世界一の学力を維持し続けているが、「その成功の秘密は何か?」という興味深いテーマとそれにふさわしい講師です。

Jaet4497Jaet4498Jaet4499写真はヘイッキ・マキバー氏が示されたパワーポイント資料で、2000年と2003年のPISA平均スコア「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」におけるフィンランド(青)、日本(赤)、OECD(緑)の比較。
例えば「数学的リテラシー」では、日本はこの3年間でフィンランドに逆転されている.ただし、OECDの平均点と比較するとどちらも十分に高い点数である。

会場でメモをとったのでその一部を掲載させていただきます。
◆政治的コンセンサス(教育への投資)
・フィンランド政府の教育への投資は、
 1999年:45億ユーロ
 2006年:64億ユーロ(7年で約1.5倍)

◆就学前教育
・1年間、700時間実施。無料。
・地方自治体が供給
◎知識と能力を遊びを通じて教える(<-このことは注目すべき)
・全ての教師は修士または学士号取得者
○国家レベルで質の評価を実施

◆ノンセレクティブな基礎教育
・全ての人に平等な教育機会
・入試なし
○ランキングリストなし
・男女共学(男子校や女子校なし)
・居住地にかかわらす教育を受けられる
・家庭の経済状況にかかわらす教育を受けられる
・母語(母国語)にかかわらす教育を受けられる

◆教師の教育
・すべての教師が大学の学士号取得者
◎すべての教師が生涯学習プログラムに参加

◆学校での日常生活が子どもたちの学習と快適さをサポート
・インタラクティブで協力的な作業方法:パートナーシップという考え方
・生徒ひとりひとりの学習と快適な生活をサポート
・高い技能をもち、自立した教師たち
◎学校と両親の協力体制
◎ICTの使用(ユビキタス・ラーニング)
・授業時間
・休暇制度

◆地域格差のない教育
・学校ごとの成績格差はわずか5%
・数学的リテラシーは全国で同一レベル
・フィンランドの好成績は、出来のよくない生徒が高い成績であることによる

◆その他の特徴
・高等教育の高い評価
◎職業としての教師の尊敬
○求職における学士号の重要性
・専攻科目との関連性

■感想:フィンランドの成功の’ひみつ’は、「高い消費税(22%)による財源の確保」「教育は重要であるということの国家レベルでのコンセンサス」「教師の質を高める努力と、職業としても尊敬される教師という立場」「大学と並行して置かれている高等職業専門学校(学ぶことの大切さの共同認識)」
にあると感じました。
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◇シンポジウム1(16:00~17:15)
Jaet4503コーディネータ:
 前田康裕氏(熊本市立飽田東小学校教諭)
アドバイザー:
 中川一史氏(金沢大学教育実践総合センター助教授)
 堀田龍也氏(メディア教育開発センター助教授)
Jaet4502パネリスト:
 山口修一氏(熊本市立託麻原小学校教諭)
 宮脇真一氏(熊本大学教育学部附属小学校教諭)
 武田裕二氏(熊本市立日吉中学校教諭)

Jaet4508Jaet4509テーマ:「学力を高めるICT活用の授業設計をどう行うか」
◆事例紹介(堀田先生のまとめの資料より引用)
・山口実践:国語
 -文章だけではなく写真を入れる
 -分かりやすい伝え方
・宮脇実践:算数
 -変化の仕方をつきとめる
 -関数的な考え方
・武田先生:数学
 -図形をいじって考える
 -リアリティを持って取り組む
(写真は、アドバイザーの堀田先生のまとめのパワーポイント資料です。)

■感想:洗練されたICT活用の実践事例だったのだろうが、私にはいまひとつ「なるほど!」という納得性や、「それは凄い!」という感動はなかった。
 なるほどと思ったのは、堀田先生の「ITは指示の明確化に効く」という言葉と、「授業の”密度”を上げるためにITを使う」という言葉だった。
玉置校長の「タブレットPCを使うことによって授業の密度が高まった!」というコメントとも合い通じるところがある。
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◇番外:
Jaet4500シンポジウム開始前に「写真を撮らせてください」とアドバイザー席近くに行ったとき、思いがけなく堀田先生から、「パンダ、どうでした?」と声をかけられました。
一瞬、私がキョトンとしていたら、「ブログ見てますよ!」といわれてとても嬉しかったです。
(堀田先生:ぜひ、ブログにコメントください (^_^))

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コメント

今日はお世話になりました。
また,記事ありがとうございました。
パンダを2人で一緒に見に行くなんて,円満ですね!

投稿: ほりたん | 2006年10月28日 (土) 01時39分

堀田先生:
関です。

コメントをいただき、本当にありがとうございました!!
お忙しいのに、おねだりをしてごめんなさい。 (^_~:)
コメントも嬉しいですが、堀田先生がブログを見てくださったことがさらに嬉しいです。

どうか、くれぐれもお身体を大切になさってください。
今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年10月28日 (土) 06時40分

こんばんは。初めまして。JAET熊本で検索をかけましたら、このブログに行き当たりました。以前見たことがあるブログでした。熊本へ来られていたと読んで、ああ、お話しできればよかったなあと後悔しています。
私は実行委員の一人です。あまり情報教育には長けた方とはいえませんが、いろいろと興味はあり、自分なりに実践はしています。マイブログに来ていただければ、私の人となりが少しは分かるかもしれません。たいした人間ではありませんが、どうぞよろしくお願いします。

トラックバックやリンクなどさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

投稿: さいびかん | 2006年10月29日 (日) 20時15分

さいびかんさん、こんばんわ。熊本ではお世話になりました。
この関さんは、業界内での私の一番の盟友です。
そよ風リンクの一番にJEIBAが乗っています。
懇親会で紹介すればよかったですね。
でも何時会うかを楽しみにするのも良いでしょう。

関さんへ:さいびかんさんは、JEARNのアートマイルというプロジェクトのメイン推進者の一人です。最近私もアートマイル事業の展開を楽しんでみています。

投稿: 大輪彰一 | 2006年10月29日 (日) 23時33分

さいびかんさん:
関です。
トラックバック&コメントをありがとうございました!
’JEARNのアートマイル’がんばってください。またお会いできることを楽しみにしています。

大輪さん:
コメント、ありがとうございます!
http://seki-kouichi.cocolog-nifty.com/soyokaze/2006/10/post_6988.html">清水先生の本「電子黒板で授業が変わる」がたくさん売れるように頑張りましょう。

投稿: 関 幸一 | 2006年10月30日 (月) 06時22分

西尾環(さいびかん)です。
大輪さんの盟友さんだったのですね。びっくり。
これからもよろしくお願いします。

投稿: さいびかん | 2006年10月31日 (火) 04時33分

さいびかんさん:
再び関です。さいびかんさんは、第12回マイタウンマップ・コンクールでは、「YUGEキッズゲルニカ」で欧州連合(EU)賞を受賞されているのですね。
ちなみに私はhttp://www.mytownmap.or.jp/outline/meister_m.html">マイタウン・マイスター推薦委員をしています。

今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年10月31日 (火) 06時48分

お礼

関様、JAET熊本大会について、詳細に報告していただき、誠に有難うございます。お陰様で多くの皆様に評価していただく素晴らしい大会となりました。フィンランドの教育に関する特別講演や、二つのシンポジウム、公開授業、研究発表分科会と、多くの皆さんのご支援で、どれも想定外の参加者となりました。お礼を申し上げます。
これを機に、メンバーのサイビカン氏をはじめとして、一過性で終わらないように熊本の情報教育を継続していきたいと思います。
JAET熊本大会 事務局長 桑崎 剛

投稿: 桑崎 剛 | 2006年11月 7日 (火) 00時30分

JAET熊本大会
事務局長 桑崎 剛 様

関です。

コメントをありがとうございました。

JAET熊本大会、とても充実していました。
私は、http://seki-kouichi.cocolog-nifty.com/tpc/">「タブレットPC教育利用研究会」というのをやっているので、タブレットPCに関する実践事例を聞きに行くのが主目的で参加しましたが、ヘイッキ・マキバー氏の特別講演もとても参考になりましたし、桑崎先生がコーディネータを務められた’シンポジウムⅡ’も現時点の教育工学が直面している課題や今後の方向性を示すいいお話がたくさん聞けました。

事務局長の桑崎先生をはじめ、事務局のみなさんの周到な準備と当日運営にご苦労されたお陰だと思います。
こちらこそありがとうございました。お礼申し上げます。

今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年11月 7日 (火) 03時41分

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