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2007年6月 7日 (木)

陰山英男氏講演:「私には夢があります。小学校入学時に一人一台のマイパソコンとしてタブレットPCが渡されるということです」

Nee07002Nee07003本日から3日間、東京お台場のファッションタウンビルでNew Education Expo 2007が開催されています。
今日は朝から一日中会場にいました。次の3つのセッションに参加しました。

(1)新しい教育の仕組みづくりのための文部科学省の取組み(新教育システム開発プログラム)【文科省 澤川和宏氏 他】
(2)21世紀の日本と教育の再生 【日本学術振興会 小野元之氏】
(3)学力問題の新たな展開とICT 【立命館 陰山英男氏】

Nee07046一番インパクトがあったのは、15:00からの陰山英男先生の講演でした。
講演の最後に、「私には夢があります。小学校入学時に一人一台のマイパソコンとしてタブレットPCが渡される。そしてそのパソコンにそれぞれの子どもたちの学習履歴が保管され、一人一人に応じた学習指導や自己学習が可能となります。」と言われました。私はこのメッセージに感激しました。
陰山先生のことですから、「夢」を語られたということはすでにプランがあり目処がついているということかもしれませんね。それは、同じ「夢」を持っている私としては、とても心強いことです。

陰山英男先生の講演の概要を報告します。
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テーマ:学力問題の新たな展開とICT 「教育再生の新たな動き」
講師:立命館小学校副校長 教育再生会議有識者 陰山英男氏

◆教育再生会議第2次報告の意味するもの
(1)「学校5日制」を基本とすることに
 「学校5日制」については、趣旨を尊重すべきである。土曜日に授業をすることで授業時間を増やし、学力低下問題の解決を図ろうという議論があるが、10数年前に詰め込み教育への批判から国民の総意を受けて「学校5日制」に移行した経緯がある。ここで、「ゆとり教育」に批判があるからといって安易にもとに戻すべきではない。
(2)ICT機器活用を積極的に推進
 ICT活用については前向きな表現が多い。電子黒板やプロジェクター、そして任天堂DSの活用も積極的に推進すべき 
(3)メリハリのある財政基盤
 マインドや国民の総意が大事。総額を増やすべき。どのように増やしていくかが課題。
(4)小坂前文部科学大臣とビル・ゲイツの会話
 ネット環境は、日本は学校の手前までは世界最高レベル(光ファイバー)であるが、学校にあるPCは古い。
(5)免許の更新制や教育委員会評価と改革
(6)打開の評価糸口は社会に評価される実践
 私が総理大臣の前で話せる。それはきちんと実績を出せば認めてもらえるということだと思う。山陽小野田での実践でもいい結果が出た。プロジェクトを仕掛けて成功させているから(総理大臣にも)話を聞いてもらえる。

◆学力や偏差値に関する統計データ
◇教育費の対GDP比率(1999年)
 日本は3.5%で主要国で最低水準。その割りには私費負担率は高い。ただし、少ない教育費の中から教職員の給与に充てられている。教職員の給与はきちんと支給した方がよい。先生方ががんばりやすいい状況になっている。
◇学習時間とTVを視聴する時間
 日本は、家庭学習をする時間は1時間/1日で、主要国の中で最低時間。TVを視聴する時間は2.7時間/1日で一番多い。すなわち、「勉強する時間が一番短く、TVを見ている時間が一番長い」。それでも、学力調査の結果は中の上と頑張っている。これは先生方の指導力の高さといえる。
◇学力は短期勝負でこそ伸びる(山陽小野田の事例)
 3700人の児童の調査結果で、知能指数の平均は102(平成18年5月)⇒110(平成19年2月)に、算数の偏差値の平均は約48⇒約53に伸びた。その要因は「生活習慣の改善」が大きい。
9時までに寝る子の偏差値が一番高い。就寝時間数との関連も驚くほど相関関係があることがわかった。
 一食あたりの摂取食品数と学習成績との相関も調査結果で明らかになっている。「いろいろなものを食べさせると学力も知能指数もそして体力も高い」という結果が出ている。

◆生活習慣の崩れは学力低下への片道特急券
 「早寝、早起き、朝ごはん」の反対の生活、すなわち睡眠不足や食事など食生活の乱れが学力低下の原因となっている。「早寝、早起き、朝ごはん」を文部科学省が取り入れてくれた。
 朝食と知能指数の関係は明らかである。
・毎日食べない:90
・ときどき食べる:98
・毎日食べる:103
朝食を食べさせていない親は、これは虐待に等しい。
 TVは1日に2時間以上視聴していると偏差値は落ちる。(特に算数)。TVを見る時間が多いということは、寝る時間、勉強する時間、読書をする時間、親子の会話の時間が減るということでもある。
 TVの見過ぎはよくない。社会総がかりでの教育再生が必要。教育的配慮のメッセージを出していかなければならない。

◆脳をトレーニングするという考え方
 簡単な計算の方が難しい問題を解くよりも賢くなる理由は、脳が活性化しているからである。本を音読しているときも同じように脳が活性化しているということが、最近の脳の研究で分かってきている。

◆学力作りのポイント
○もっとも重要なのは言語能力
○冬休みと2月は学力向上のポイント
 (冬休みはお正月などでお父さん・お母さんが家にいるから。2月は学校行事がないから。←講演後のQ&Aより)
○成功する詰め込み教育の条件
→早寝、早起き、朝ごはん
→一つのことに短期間集中させること
→教材は基礎基本に限る
→定着期間を大切に(定着期間を含めると、1ヶ月半必要)
○漢字脳の形成が必要
○詰め込みがいいことが分かった(一時期に一つに絞る。基礎基本で定着につながる)
 きちっと定着させることが、学力向上につながる。

◇ニンテンドーDSのいいところ
京都でDSを学習に活用している子どもたちに聞いた。「DSのどこがいい?」
すると意外な答えが返ってきた。「ほめてくれるところがいい!」と。
これは、教育・学習の本質かもしれない。

◆徹底反復がICTと相性がよい
○限られた内容を単純方法で、徹底的に反復
→陰山メソッド(徹底反復学習)
○単純な方法の反復←PCは得意
○パソコンの可能性
→学習履歴が記録可能
→タブレットPC(「書く」という作業)とIQの相性→デジタル学習の本命
○効率的な学習、計画的な学習
→漢字前倒し学習への応用(協力 富士通
 「新出漢字指導時の評価」:従来のノートによる方法と「手書き電子教材」による方法では、「手書き電子教材」では1時限に倍の漢字習得が可能であるという結果が得られた。

◆まとめ
○今後10年間で若手教員に替わっていくので、PC活用は有効
○単純なことはPCに任せて、教師は教師でしかできないことをやる。ムダをなくす。すなわちこれはトヨタ方式(カイゼン)である。
○「私は隠れ’ゆとり派’」です。

◆デジタル学習の可能性
○電子黒板
 板書の時間が省ける
○タブレットPC
 究極の個別指導が可能(学習履歴が残る)
○テレビ会議の活用

◆私の夢(I have a dream)
 「私には夢があります。小学校入学時に一人一台のマイパソコンとしてタブレットPCが渡される。そしてそのパソコンにそれぞれの子どもたちの学習履歴が保管され、一人一人に応じた学習指導や学習の参考データとなるということです。」

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