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2006年8月29日 (火)

【実施報告】第1回「タブレットPC教育利用研究会」シンポジウム

Tpc90016今日は第1回「タブレットPC教育利用研究会」シンポジウムを実施しました。概要を報告します。
アンケート結果を別記事で公開しています。ご参照ください。
すでにたくさんのコメントが寄せられています! 参加者のみなさん:ぜひ、ここをクリックして、この記事へのコメントをお願いします! もちろん、参加者以外の方のコメントも大歓迎です。

◇日時:8月29日(火)13:00~17:30
◇場所:富士通汐留本社 6階プレゼンテーションルーム1&2
◇主催:タブレットPC教育利用研究会
◇テーマ:「タブレットPCで、授業が変わる! 学習が変わる!」
◇定員:80名
 たいへん好評で、ほぼ1ヶ月前に参加申込者数が定員の80名になりました。直前のキャンセルも数件ありましたが、それ以上の方が締め切り後も参加希望を寄せられたため、結局100名近い参加となりました。最初から最後まで満員盛況といった状態で、みなさんとても熱心に参加されていました。
発表者のみなさん。そして参加者のみなさん、本当にありがとうございました!
事務局をしていたので、充分な議事録がとれませんでした。概要と、発表者の発言で【印象的なフレーズ】を書き留めてご報告とさせていただきます。

◇内容:
 ・全体進行(コーディネータ):都立江東商業高等学校教諭 榎本竜二氏
 ご自身もタブレットPCを使った授業や講演を多数経験。絶妙なトークで盛り沢山の内容をスムースに進行させてくれました。

第1部 「手書きインタフェースの成果と今後の展望」
○公開対談(基調講演に代えて)
Tpc90021テーマ:「ヒューマンインタフェースとしての‘手書き’の成果と今後の展望」
・東京農工大学教授 中川正樹
ヒューマンインタフェース研究の第一人者です。超多忙の中、駆けつけてくれました。ヒューマンインタフェースの歴史、理想と課題、そしてその効果などをお話していただきました。【IT活用で効率化できるのは当然のこと、質の向上が本質である】
・富士通研究所研究員 岩山尚美氏
手書き文字認識の開発者。土堂小での実践の成果を解説してくれました。3児の母としての実体験をもとにした教育論はとても説得力がありました。【こどもにとってマウスでタコの足8本は書きにくい。タブレットならではである。】【リアルタイムのフィードバックが子どもの集中力を持続させる】

第2部 事例&ソフト/コンテンツのご紹介
2.1 デジタル教科書のご紹介
Tpc90024国語のデジタル教科書の活用事例 (光村図書出版取締役・開発部長:黒川弘一氏)
デジタル教科書の製品紹介だけでなく活用方法をくわしくでご説明していただきました。【国語では、漢字を文脈の中で学習することの重要さを大切にしている】
Tpc90029○デジタル教材開発ツール「dbook」ご紹介 (NPOゆ~らっぷ代表幹事:原久太郎氏)
デジタル教材開発ツールdbookの開発の狙い、そしてその現状と将来を熱く語っていただきました。【生徒一人ひとりのためのデジタル教科書を、2010年までに実現させたい。このときタブレットPCがキーとなる】

2.2 授業&講義支援ソフト
○デジタル教材活用支援ソフトウェア「DeTeMO」ご紹介
(NTTコミュニケーションズ:小池一成氏)
IT活用授業を支援するソフトウェアDeTeMoを、光ヶ丘中学校での活用事例ビデオ等も使って分かりやすくご紹介いただきました。玉置校長の説明がとても説得力を持っていました。授業でのタブレットPC活用の有効性がよくわかりました。
Tpc90036○手書き入力方式によるコンテンツ作成、Total e-Learningソリューション「EduCanvas」(メディク・クエスト株式会社:梶原健志氏)
薬剤師の国家試験の合格率が大幅にアップしたという明治薬科大学でのEduCanvasの活用事例を授業の様子のビデオも使ってご紹介いただきました。大学での効果的なタブレットPCの活用方法がよくわかりました。

2.3 学習コンテンツ
手書き学習コンテンツ (学研:栗山健氏)
タブレットPC用学習ソフトの魁、学研の手書き学習コンテンツ「書いて覚える!学研電子辞書シリーズ」などをご紹介いただきました。「学研のデジタル教科書」もご紹介いてだきました。岩山さんは「自分の子どもたちに使わせたい」とおっしゃっていました。
Tpc90042電脳陰山メソッド (小学館:伊藤護氏)
富士通研究所の優れた手書き文字認識技術を活用した小学館の「漢字学習ソフト」「計算ソフト」をご紹介いただきました。陰山英男先生の’電脳陰山メソッド’にかける思いについても語っていただけきました。富士通への期待と叱咤激励のコメントがたいへん印象的でした。【陰山先生の着眼点:基礎基本の反復学習とデジタルは相性がいい!】

第3部 パネルディスカッション
Tpc90045Tpc90044テーマ:「タブレットPCは、本当に教育に役立つか?」
・コーディネータ:尚美学園大学教授 小泉力一
(早くからタブレットPCに注目し、実際に活用されています。文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会・家庭、技術・家庭、情報専門部会の委員もされています。)
パネリストのみなさんに3つのテーマが提示されました。
・パネリスト:
Tpc90049マイクロソフト インダストリーマネージャ 相原健一氏:
米国・シンガポール等のグローバルな視点からの事例紹介と、新OS・VistaなどMS社のタブレットPC戦略についてのお話をしていただきました。【タブレットPCの普及にはコミュニティの活性化が必要。その意味でも「タブレットPC教育利用研究会」の活動に期待している】

Tpc90060NTTコミュニケーションズ部長 上草憲昭氏:
ことだまレクチャー’の開発者である東京大学の栗原一貴氏に代わって、このツールをご紹介していただきました。ことだまレクチャーとは、電子ペンで編集と発表ができる授業・プレゼンテーションツールです。【まんざらでもなく、’タブレットPC’っていいな!と思っている】

小野上小学校教諭 上原永護氏:
学校現場の現状を踏まえた、課題について語っていただきました。上原先生自身による算数/数学の自作教材も紹介していただきました。

みなさん:発表の時間が少なくてごめんなさい!

Tpc90064◇懇親会:研究会終了後に、会場近くで簡単な懇親会を実施しました。ビールと焼き鳥で乾杯し、1時間半ほど友好を暖めました。

参加者のみなさん:
ぜひ、この記事へのコメントをお願いします!

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コメント

手書きはなんといっても学習の基本です。キーボードでの
入力は大人にも子どもとって、なんとも不自然なところがあります。紙の上で文字や数字、図形を描く体験は大事です。
タブレットPCは紙の感覚で学習できることです。そのことは、書字障害の子どもの指導で実証済みです。

今回のシンポでは、「ことだまレクチャー」や「DBOOK」を知って、タブレットPCの利用範囲が増える予感がしました。早速ダウンロードして使い始めました。

投稿: 成田 滋 | 2006年8月30日 (水) 11時23分

成田先生:
関@長野新幹線車中です。コメントありがとうございました。
遠方から、しかもご多忙のところシンポジウムに参加いただきたいへんありがとうございました。
「特別支援教育」分野でのタブレットPC活用は実績もあり成果も大いに期待できるところだと思っています。
次回は、この分野の発表なり分科会を企画したいと考えていますので、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月30日 (水) 13時53分

関さん

昨日は、ありがとうございました。久しぶりにこの分野の会合に参加しましたが、盛況なのにびっくりしました。
関さんの人脈とご努力の賜物と感服しました。

でも、なかなか難しいということは私が関わっていた20年位前とあまり変わっていないようですね。

電子ボードとの組み合わせで先生が携帯して机間を歩きながらも使えるタブレットPCなどは、若い先生への指導法などのアンチョコ的なものなども入れて使えると、教師間のスキル差ベテラン教師の指導法を若手にも伝える)を補うという意味でも面白いと思いました。

問題は、タブレットPCや電子ボードの価格と、学校の中の環境(無線LANやサーバ設置など)などITにとっての基本環境をどのように整えるのか?のように感じました。
学校は企業のように機器の運用の面倒を見たりする人もいないので、ネット経由でアウトソーシング利用できるような環境(ビジネスモデル)も必要と思いますが、この辺りもあまり変わっていないのでしょうか?

授業の中で教具として使うには、数万円まで価格が下がらないとタブレットPC固有の使い方での導入は難しいでしょうが、コンピュータリテラシー教育として、小学校や中学校が(普通のキーボード、マウスでの使用をメインにしつつも)タブレットPCを導入して、リテラシーの授業だけでなく、教科の中でも必要に応じて、(授業の中で数分間でも使える)効果的に使う事例が沢山出てくると良いと思いました。
そのための教授法や教材が現場の先生と連携してどんどん出てくれば、これからの若い先生は学生時代からPCなどの操作には抵抗感がないと思うので、時間はかかっても、価格と運用サポートの体制が出来れば、いずれ浸透して行くようには思います。

漢字のドリルなど、繰り返し訓練には、以前、公文がアメリカの教室でペンを使いたいと言っていました(日本のような、大卒の主婦がいないので、PCで採点したいとか)そのような使い方には十分使えるように思います。

取り留めなく、かきましたが、お礼方々、今後のご活躍を祈念しています。

投稿: 藤田 孝弥 | 2006年8月30日 (水) 14時35分

藤田さん:
関です。

丁寧なコメント、たいへんありがとうございました。
都内でも校内LANの整備は遅れていて、教室からはインターネットに繋げられない環境の学校がまだまだ多いです。

今後とも、よろしくお願いします。
中川先生にもよろしくお伝えください。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月30日 (水) 17時01分

関さん

昨日はお疲れ様でした。そして、タブレットPCに関心を持つ方と交流する場を用意していただいて、ありがとうございました。このコミュニティの輪が広がっていくように願っています。今後は、創造的支援という視点での研究も行っていきたいと思います。

投稿: 岩山尚美 | 2006年8月30日 (水) 18時00分

岩山さん:
関です。
中川先生との対談相手という大役をお願いしたため、準備にも本番でも苦労をされたのではないかと思います。
でも、結果としては参加者のみなさんに感動を与えることができたのではないかと自負しています。
岩山さん奮闘に敬意払うとともに、心より感謝いたします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月30日 (水) 20時09分

関さん、ありがとうございます。ビデオ出演の私の説明にもコメントをいただきうれしく思います。

投稿: 玉置崇 | 2006年8月30日 (水) 23時30分

電子情報ボードがe黒板なら、タブレットはeノート、eワークシートですね。

教師の授業スタイルを変えずに使えて効果をあげられることが普及の条件のようにいわれていましたが、それで学力低下問題の課題である授業に付いて行けない子どもを救うのに役立つかどうかは疑問があります。
タブレットの「手書き」という特徴は、子どもがひとりひとり自ら頭をつかって文字や図に表すことで学習効果につながることは確かだと思います。
またドリル的学習や、ワークシート的な使い方による個別学習、情報を持ちより整理する共同学習ツールとしても、大きな学習効果をあげるでしょう。このようなツールを生かして、本当に学習効果のあがる「新しい授業スタイル」が生み出せるかが鍵だと思いました。


投稿: 榊 | 2006年8月31日 (木) 02時19分

玉置校長へ:
関です。ブログへのコメント、たいへんありがとうございました。
あのビデオにおける玉置先生のコメントは秀逸です。
「機器のセッティングをしている時に、たまたま通りかかった女の英語の先生がトットットットットとその場で使いこなしてしまった」というくだり、そして「授業の密度が高まりました」という解説。実に素晴らしいと思います。
次回のシンポジウムにはぜひご参加ください。よろしく、お願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月31日 (木) 02時47分

榊さん:
関です。コメント、ありがとうございます。
「本当に学習効果のあがる’新しい授業スタイル’が生み出せるかが鍵である」というご指摘は、長年教科書会社にいらっしゃった榊さんならではだと思いました。
タブレットPCは単なる一つの道具にすぎませんが、私は「授業改善」に役立つ道具だと直感しています。それをどのように活用して’新しい授業スタイル’を創造し、提案していくかが課題のようですね。
今後とも、「タブレットPC教育利用」研究会をよろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年8月31日 (木) 02時55分

タブレットPCに寄せられる期待の大きさが参加者の多さを表していたように感じました。
手書き入力は,いずれは標準的なインターフェイスになると思います。
まだ可能性を追求する模索の段階かもしれませんが,教育用PCとして標準規格と認識されれば,それを活かしたコンテンツや活用方法の研究も進むと思われます。
先進国に遅れをとっていますが,教育現場や行政サイドでは,ICT活用教育がこれ以上,差を広げられないように,機器の整備を推進し,それを活用していっていただきたいと考えております。
そして,ハードやソフトのベンダー側の企業の方々には,積極的にコンテンツや活用方法の提案もしていっていただきたいと考えております。
その双方が,今,がんばらなければならない時期だと思います。

デジタル教科書は,短期間に立ち上げたものですが,これまでのノウハウの集大成となっております。次の改訂には,さらによりよいものがより多くの会社から提供されるのではないかと期待しております。

デジタル教科書,そして,その開発ツールのdbookは,これまでにないもので,ICT先進国にもなかったものといえます。(日本のような紙の教科書を使っている国以外は関心がないでしょうけど)

2005年目標の整備計画が大きく遅れております。その遅れを取り戻すだけでなく,その先を見つめるとタブレットPCはキーワードのひとつであることは明らかです。

まずは,タブレットPCより電子情報ボードを優先する時期かもしれません。電子情報ボードとタブレットPCは異なった特色を持ちますが,共通点もあります。
電子情報ボードの整備=>電子情報ボード向けのコンテンツ=>タブレットPC向けのコンテンツ
といった図式が成り立つといえるものもあります。

その双方の活用の研究は今後につながるものと考えております。

投稿: 上原 永護 | 2006年8月31日 (木) 21時56分

上原先生:
関@松代(長野県)です。
シンポジウムでは授業が始まっているにもかかわらずパネリストを務めていただき、まことにありがとうございました。また、ブログへのコメントもありがとうございます。

電子情報ボードとタブレットPCは競合するものではなく、互いに相補いあうものだと私は考えています。学校現場から見てもそうでしょうし、例えばデジタル教科書の提供側からみてもそうだと思うのです。
そして、子どもたちのための「学びの道具」としてのパソコンは、タブレットPCのような’手書き’の機能が必須であると考えています。
今後とも、よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年9月 1日 (金) 04時43分

関様
 先日の研究会はご苦労様でした。また、ありがとうございました。7月にシンガポールに仕事で行っておりましたが、その中で、ごく普通の公立高校でtablet PCが使われている授業をたまたま見学していました。地理の授業でしたが、教師がPCを持って生徒の間を歩き回り、生徒に書き込ませたり自分で書き込んだりしながら授業が進んでいました。生徒と教師の距離の近さと、進行の柔軟さが印象的でした。この学校は政府のプロジェクトに乗っているようなところではなかったので、生徒一人一人がtabletを持っているような授業ではありませんでしたが、十分にtabletの可能性を感じました。
 tablet PCについては、自分でもどんな利用が出来るかこのところ考えております。私は英語屋です。powerpointを用いたoral methodの実践を、研究団体の仲間が見せてくれたことがありますが、powerpointより数段強力なことができそうです。ただ、私は1時間の授業での板書は全て消さないで残す形の授業をしているので、コンベンショナルな黒板の利点も捨てがたいと思います。ポイントとしてどこでtabletの利点を活かすか、さらに検証してみたいと思います。

投稿: 箱守 知己 | 2006年9月 3日 (日) 19時40分

箱守先生:
関です。英語の授業には「電子黒板」が効果的だという評価が出ています。(特に小学校英語)
高等学校では、タブレットPCを電子黒板的に使うのがいいのではないでしょうか?
「電子黒板」関連は、ブログ「JEIBA分室」
http://seki-kouichi.cocolog-nifty.com/jeiba/
をご参照ください。

普通の黒板と、電子黒板の併用も効果を倍増させるのではないでしょうか?
いろいろと挑戦してみてください。
ご協力できることがあればご連絡ください。よろしくお願いします。

投稿: 関 幸一 | 2006年9月 3日 (日) 20時05分

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